燕山君(ヨンサングン)/朝鮮王朝おどろき国王列伝11

 

第11回 張緑水と一緒に堕落していった国王

1476年に燕山君(ヨンサングン)は9代王・成宗(ソンジョン)の長男として生まれた。彼は母の愛を知らずに育った。母は成宗の二番目の正室であったが、廃妃になったあとに死罪で絶命していたからだ。それは、燕山君が6歳のときのことだった。




傲慢で執念深い

燕山君の母である廃妃・尹(ユン)氏が王宮から追放されたのは、成宗に寵愛されていた側室を呪い殺そうとしたり、成宗の顔をひっかいて傷つけてしまったからだ。
その果てに、尹(ユン)氏は1482年に死罪になった。
それでも、成宗は尹氏との間に生まれた長男を世子(セジャ/国王の正式な後継者)に決めた。反対が多かったのは事実だが、王権継承者は長男が原則、という定めに従ったのである。
その成宗は1494年に亡くなり、燕山君が10代王となった。
後の世で燕山君の評価は最悪なので、彼にまつわる逸話もひどいものばかりである。
たとえば、一つは鹿、もう一つは恩師をめぐる話だ。
ある日、成宗は子供時代の燕山君を庭に呼んだ。そのとき、成宗がかわいがっていた鹿が、燕山君になついて手の甲や衣類をなめた。
しかし、燕山君は急になつかれたことに腹を立て、その鹿を思いっきり蹴飛ばした。成宗が大事に飼っていた鹿であるにもかかわらず……。




また、子供時代の燕山君の教育係を仰せつかった優秀な側近も悲惨な目にあった。彼は、将来の王に帝王学を授けたくてかなり厳しく指導したのだが、これを燕山君は根に持っていた。即位するとすぐに、その側近を処刑してしまった。
こうした例を見ても、燕山君が傲慢で執念深い人物であることがわかる。
(ページ2に続く)

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