ぜひ仇を討ちたい
仁穆王后は綾陽君に言った。
「逆魁の罪を知っていますか。私自身に徳が少なくて、母子の道理を尽くすことができませんでした。しかも、倫理は崩れ、国家は滅びる寸前でした。みなさんのおかげで朝廷は安定を取り戻し、怨みも晴らせました。こんなに感激することが他にありますでしょうか。ただ気になるのは、逆魁の父子が今どこにいるかということです」
「王宮にいます」
「同じ空の下で一緒に住むことができない仇(かたき)です。長く耐えてきましたが、私が直接彼らの首を斬り落としたい。10年間の幽閉生活を生きのびてこられたのは、ひとえに今日という日を待っていたからです。ぜひ仇(あだ)を討ちたい」
強く言い放った仁穆王后に対して、綾陽君の臣下が答えた。
「昔から追放された君主について、臣下の者たちがあえて刑罰を論じることはありませんでした。今まさに下された命令を受け入れることは難しいのですが……」
すると、仁穆王后は綾陽君に向かって言った。
「即位して私の意をくんでくれるのならば、私のために復讐するのが孝行というものではないですか」
「このように百官たちがいるのに、私がどうやって思いどおりに振る舞うことができるでしょうか」
(ページ3に続く)
光海君(クァンヘグン)が仁穆(インモク)王后に復讐された日(前編)
光海君(クァンヘグン)を追放した仁祖(インジョ)に大義名分はあるのか?