首陽大君と安平大君の対立はなぜ起こったのか

 

4代王・世宗(セジョン)の二男が首陽大君(スヤンデグン)だった。儒学はもちろん、天文や兵学にも精通し、風水に関しても専門家以上の知識を持っていた。音楽理論と楽器演奏にも長けていた。まさに当代随一の学問と強要を兼ね備えていたと言える。




首陽大君の野心

首陽大君の資質を高く評価した父の世宗は、様々な国家事業を彼にまかせ、彼もその期待にそむくことなく素晴らしい成果をあげた。
しかし、首陽大君がもっとも発揮したのは、武人としての資質だった。力が強く、弓の腕も並はずれたものだった。文武を兼ね備えた豪傑であったことは間違いない。
彼はそんな自分の資質を周囲に見せようとしていた。父王である世宗に自分を後継者として認めてもらいたかったのだろう。勉強ばかりする兄の文宗(ムンジョン)より文武を兼ね備えた自分こそが王にふさわしいと主張した。
朝鮮王朝では、3代王・太宗(テジョン)が、国のために長男ではなく三男の世宗を後継者にした過去があった。首陽大君もその前例を狙ったのである。
しかし、文宗に対する世宗の信頼はあつかった。
落胆した首陽大君。誰よりもよく国を治める自信があっただけに、彼はやるせない気持ちに沈んだ。




ただし、文宗は世子のときから病弱だった。それが首陽大君の野心がわずかに残る根拠となった。
自分の気持ちにあまりに正直で野心を隠すことができなかった首陽大君は、世宗の治世時代の末期に、まるで自分が王のような発言をしたこともある。文宗のときには公務執行を妨害するなど王族としてあるまじき態度も見せた。
そもそも、世宗は自分の息子たちを重用した。子をかわいがる気持ちもあったが、それよりは臣下たちを牽制する目的が大きかった。
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