最良の漢方薬を飲んだのだが……
6月28日、正祖が「煎じ薬をどのようにすれば良いのか」と尋ねた。医官は「気を補う薬を使いながら、脾臓を温かくする必要があります」と答えた。
しばらく後に、煎じ薬が正祖の病床に運ばれてきた。
正祖が「誰が作ったものなのか」と尋ねた。
医官は「姜最顕(カン・チェヒョン)が作ったものですが、多くの者と相談して決めた煎じ薬です」
すかさず正祖が「5匁(もんめ/重さの単位で約3・75グラム)くらいか」と尋ねると、医官が「人参(にんじん)が3匁入っています」と答えた。
その説明に納得した正祖だったが、結局は漢方薬が彼を救うことはできなかった。
正祖はその後に危篤状態になってしまい、そのまま帰らぬ人となった。
侍医と同じくらい漢方薬に詳しかった正祖。当時の医療レベルでは、正祖も48歳まで生きるのが精一杯だった。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
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