財閥令嬢と高貴な王族の契約関係
人気を集めている『21世紀の大君夫人』のヒロインは、巨大な財閥の令嬢ソン・ヒジュだ。演じているのはIUである。そして、彼女の相手役となるのが高貴な血筋を持つイ・アン大君である。こちらはビョン・ウソクが好演している。この2人は、純粋な愛情から結ばれるわけではない。お互いの複雑な事情や思惑を一致させ、契約に基づく結婚へと突き進んでいくのだ。打算と秘密に満ちた2人の危うい関係性が、視聴者の関心を強く惹きつけている。
もしも現代に王朝が残っていたら
本作の舞台設定は非常にユニークである。現代の社会に、かつての王朝がそのまま存続しているという仮想の世界を描いているのだ。このパラレルワールドにおいて、王室はどのような立場にあるのだろうか。政治のシステムは立憲君主制を採用している。したがって、王家には実質的な政治権力が与えられていない。実際の国政を動かしているのは、強力なリーダーシップを持つミン・ジョンウ総理である。ノ・サンヒョン演じる若き総理が、国家の舵取りを完全に行っているのだ。
繰り返される悲劇と王位継承の歴史
現在の王家は、決して平穏な状態ではない。むしろ、非常に複雑で悲劇的な背景を抱えている。イ・アン大君の父親は31代王のイ・ギョクであった。彼は2012年にこの世を去っている。その後、長男のイ・ファンが32代王として即位した。ソンジュンが演じるこの若き君主に、国民は多くの期待を寄せた。しかし、過酷な運命が彼を襲う。2022年、痛ましい火災事故が発生し、イ・ファンは不慮の死を遂げてしまったのだ。その結果、残された彼の長男であるイ・ユンが、新たな君主となる。キム・ウンホ演じるユンは、2022年に33代王として玉座に就くことになったのである。
厳格な身分制度と孤高の摂政
最大の問題は、33代王となったイ・ユンがまだ幼すぎることだ。彼1人で重い国事を担うことは到底不可能である。そこで、叔父であるイ・アン大君が摂政の座に就いた。幼い甥を補佐し、彼が実質的な王室の代表として振る舞うのである。 ここで王室の称号について少し触れておこう。イ・アンが名乗る「大君」という称号には、極めて特別な意味がある。これは、国王の正室から生まれた男子にのみ許される尊称である。もし、国王の側室が男子を産んだ場合、その子は単に「君」と呼ばれる。同じように国王の血を受け継いでいても、そこには容易に越えられない身分の壁が存在するのだ。現代社会でありながら、こうした厳格な階級制度が息づいている点も、この物語の奥深さを示している。
伝統と革新の狭間で揺れる王家の未来
幼き君主を守るため、矢面に立ったイ・アン大君。彼はこの複雑な状況下で、どのような決断を下していくのだろうか。王家を意のままに操ろうとする狡猾な政治家たちとの暗闘も予想される。また、強力な資本力を持つ財閥との関係構築も不可避である。そのための重要な手段の1つが、ソン・ヒジュとの契約結婚なのだ。 伝統を重んじる閉鎖的な王室と、利益を徹底的に追求する現代の巨大企業。まったく異なる価値観が激しく衝突し、交錯していく。イ・アン大君は、古い慣習に縛られた王家をどう導いていくのか。この権力闘争と愛憎の行方こそが、『21世紀の大君夫人』で大きな見どころになっている。
文=康 大地(こう だいち/韓流ジャーナリスト)
写真=MBC
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