『哲仁王后』は単なるコメディを超えて壮大なスケールの歴史劇になっている

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時代劇『哲仁王后~俺がクイーン⁉~』という傑作ドラマを骨の髄まで楽しむためのポイントを整理しよう。本作において注目すべき見どころは多い。

まず、主演女優の圧倒的な怪演である。ヒロインを任されたのは、実力派のシン・ヘソンだ。数々のヒット作を飛ばしてきた、名実ともにトップクラスの人気女優である。

そんな彼女が本作で挑んだ役柄は、非常に奇想天外だ。なんと、現代を生きる韓国人男性の魂が乗り移ってしまった王妃を演じているのである。その言動はガサツで、とても品が良いとは言えない。本来なら高貴であるべき王妃の姿とは、真逆なのだ。

このドラマが爆発的なヒットを記録した理由は明白である。男の魂を宿したヒロインの立ち振る舞いが、あまりにも痛快だったからだ。シン・ヘソンは本当に芸達者だ。本作でもコミカルな演技をいかんなく発揮している。

さらに、共演者の存在も光っている。大ヒット作『愛の不時着』でおなじみのキム・ジョンヒョンである。彼が演じる国王・哲宗(チョルジョン)のユニークな人物像も見逃せない。この主役カップルが織りなす絶妙な掛け合いは、最高に相性が良いのである。

続く見どころは、背景に描かれる奥深い歴史絵巻である。物語の発端は現代のソウルだ。大統領官邸で勤務する天才シェフが、ある陰謀に巻き込まれる。逃走の末にプールへ転落してしまうというスリリングな設定から幕を開けるのだ。

やがて彼の魂は時空を超え、19世紀半ばの朝鮮王朝へとタイムスリップしてしまう。そこは権力闘争が渦巻く、激動の宮廷社会である。劇中では、王宮内部のドロドロとした人間模様がたっぷりと描写されている。

国王や王妃はもちろんのこと、側室の思惑も複雑に絡み合う。そして野心に満ちた高官たちが暗躍する。朝鮮王朝という時代が持つ特有の重厚なエピソードが、物語にさらなる深みを与えているのだ。単なるコメディ作品にとどまらない、壮大なスケールの歴史ドラマとしても十分に堪能できる仕上がりとなっている。

特に視聴者は、ハラハラするような「スリル」と、吹き出してしまう「笑い」を同時に体感することができる。この面白さは本当にたまらない。

画像=tvN

文=康 大地(こう だいち)

康大地

2008年から韓流専門誌で執筆と編集を長く担当。特に『愛してるっ‼韓国ドラマ』誌において、韓国ドラマのレビュー、韓流イベントの取材、歴史人物解説記事の執筆などに取り組んできました。現在は韓流サイト『ロコレ』で企画・取材・執筆・編集を精力的に行っています。韓国ドラマ以外の趣味は居酒屋めぐり、温泉探訪、妖怪研究などです。

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