大いに嘆いた正祖
今度は李時秀が尋ねた。
「夜間に何か召し上がったものはありますか」
正祖が「ない」と答えたので、李時秀は人参茶を用意した。
李時秀「優秀な医官を呼んでありますので脈をお取りになったらいかがですか」
正祖「今の世に病のことをすべて知っている医官がどこにいるというのか」
大いに嘆いた正祖はさらに言った。
「まあ、せっかくだから医官をここに呼べ」
医官が正祖の脈を取った。正祖が質問した。
「煎じ薬をどのようにすれば良いのか」
医官は「気を補う薬を使いながら、脾臓を温かくする必要があります」と答えた。
しばらく後に、李時秀が煎じ薬を持ってきた。
正祖が「誰が作ったものなのか」と尋ねると、李時秀は「多くの医官が相談して決めたも同然の煎じ薬です」と言った。
「5匁〔もんめ/重さの単位で約3・75グラム)くらいか」
「人参が3匁入っています」
ここで「朝鮮王朝実録」のこの項の記録が終わっている。
以後、正祖は危篤状態となり、しばらくして息を引き取った。享年48歳だった。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
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