太祖(テジョ/李成桂〔イ・ソンゲ〕)/朝鮮王朝おどろき国王列伝13

威化島から引き返した

李成桂は反対した。
「小国が大国に逆らうのは良くないですし、今は夏で農業が忙しいのに若者たちを兵として使うのは無理です。それに、北に遠征すると南の国防が手薄になり倭寇の侵略を受けることになりまし、長雨の時期は暑さと湿気で病気が増えます」
李成桂がここまで反対しても、明への出兵は強行された。大軍を率いた彼は、予想通り雨で行く手を阻まれてしまう。
目に見えて落ちていく兵士たちの士気……。このとき、李成桂は、無学大師の言葉を思い出した。
「あなたは王になる……」




李成桂は覚悟を決めた。
彼は鴨緑江(アムノッカン)の中州であった威化島(ウィファド)から全軍を引き返し、攻撃目標を高麗の首都・開京(ケギョン/現在の開城〔ケソン〕)に定めた。
勢いに乗った李成桂軍。高麗の他の武将は止めることができず、彼は都を制圧して一気に高麗最高の実権を握った。
李成桂はすぐに高麗王を追放し、傀儡を王位に就けて裏で王朝を操った末に、1392年に自ら王となって朝鮮王朝を開いた。
彼こそが初代の太祖(テジョ)である。
(ページ3に続く)

イ・ソンゲ/李成桂は、どんな人物だったのか?

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