大きな弱点
老論派は、英祖をしっかりと支えていた派閥だ。英祖にとっても、イ・ソンが老論派を批判したことはとても意外なことであった。
以後、老論派はイ・ソンを極度に警戒した。
「この世子が王になった場合には、自分たちが追放されるのではないか」
そういう危機感が強かった。
イ・ソンにも大きな弱点があった。
それは、素行が悪かったことだ。
酒を飲んで暴れたり、側近に暴力をふるったり……。そうした行ないが、老論派によって大きく歪められて英祖のもとに伝えられた。
英祖は、次第にイ・ソンに対して不信感を抱くようになり、親子の確執が決定的になっていった。
イ・ソンの周りには、実は老論派の関係者が多かった。
たとえば、妻の恵慶宮(ヘギョングン)は老論派の重鎮の娘だし、妹の和緩(ファワン)も老論派に近い女性だった。しかも、和緩は兄のイ・ソンに対して好ましい感情を持っていなかった。(ページ3に続く)
英祖(ヨンジョ)と思悼世子(サドセジャ)〔第1回/老論派の陰謀〕