端宗(タンジョン)/朝鮮王朝おどろき国王列伝8

壮絶な最期

野史(正式な歴史書ではなく民間に伝承している歴史書)によると、世祖の命令で毒薬を持参した使者は、それを渡すことができず、ただ端宗の前で身を伏せるばかりだったという。
それを見た端宗が意を決して自分の首に緒を結び、窓の外にいた者にそれを引っ張れと命じたそうだ(あるいは、端宗が強引に首をしめられた、という説も残っている)。




端宗の最期は後世の語りぐさになっているが、その遺体は放置された、と野史は伝えている。
しかし、心ある者が処罰されるのを承知で丁重にとむらったという。
端宗の話は、調べれば調べるほど心が痛む。王となりながら、彼はなぜこれほどひどい仕打ちを受けなければならなかったのか。
そんな端宗は、あの世で生母の顕徳王后に会うことができたのだろうか。そんなふうに想像するだけで、端宗を哀悼する気持ちに少しの救いがもたらされる。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

世祖(セジョ)!甥から王位を奪った国王

死六臣(サユクシン)!端宗に尽くした見事な忠誠心

固定ページ:
1 2

3

関連記事

ピックアップ記事

必読!「悪女たちの朝鮮王朝」

本サイトには、「悪女」というジャンルの中に「悪女たちの朝鮮王朝」というコーナーがあります。ここでは、朝鮮王朝の歴史の中で政治的に暗躍した女性たちを取り上げています。
朝鮮王朝は儒教を国教にしていた関係で、社会的に男尊女卑の風潮が強かったのです。身分的には苦しい境遇に置かれた女性たちですが、その中から、自らの才覚で成り上がっていった人もいます。彼女たちは、肩書社会に生きる男性を尻目に奔放に生きていきましたが、根っからの悪女もいれば、悪女に仕向けられた女性もいました。
「悪女たちの朝鮮王朝」のコーナーでは、そんな彼女たちの物語を展開しています。

もっと韓国時代劇が面白くなる!

韓国時代劇によく登場する人物といえば、朝鮮王朝の国王であった中宗、光海君、仁祖、粛宗、英祖、正祖を中心にして、王妃、側室、王子、王女、女官などです。本サイトでは、ドラマに登場する人物をよく取り上げています。

ページ上部へ戻る