昭顕世子に不信感を持った仁祖
清では、昭顕世子と凰林大君も一応は王子として遇せられたが、外国での人質生活は、兄と弟の心に異なる影響を与えた。
昭顕世子は清に入ってくる西洋の技術や文化に心を震わせた。そして、積極的に西洋人と交流をもち、西洋文化に心酔していった。
一方、鳳林大君は世子である兄を守るため、清の中で常に目を光らせていた。その間、彼も西洋文化に触れる機会はあったが、敗戦国の王子と馬鹿にする周囲の視線を感じていたため、清への恨みを強めるばかりだった。
昭顕世子と鳳林大君の生活ぶりは、父である仁祖に逐一報告された。仁祖は憎き清と友好を深める昭顕世子に対し、怒りを募らせていた。
また、仁祖は清から徹底した「反清思想」の持ち主だと思われていたため、昭顕世子が帰国すれば、王の座を追われるという噂まで流れていた。そのことも昭顕世子に対する仁祖の疑心暗鬼に繋がっていった。
一方、仁祖が自分に不信感を抱いていると知らなかった昭顕世子は、早く帰って清と西洋文化のすばらしさを父に報告したいと胸をはずませていた。(ページ4に続く)
仁祖(インジョ)はなぜ昭顕(ソヒョン)世子の一家を滅ぼしたのか
光海君(クァンヘグン)を追放した仁祖(インジョ)に大義名分はあるのか?