鄭蘭貞(チョン・ナンジョン)という名前を聞けば、すぐに大女優のカン・スヨンを思い出してしまう。それほど、『女人天下』で鄭蘭貞を演じたカン・スヨンの演技がすばらしかった。鄭蘭貞は16世紀前半に実在した女性だが、まさか500年後に自分が傑作時代劇の主人公になるとは夢にも思わなかっただろう。
かぎりない欲望
最下層の身分となる奴婢(ぬひ)の出身だった鄭蘭貞は妓生(キセン)となり、宴席で出世の相がある人物をさがした。その中で、目をつけたのが尹元衡(ユン・ウォニョン)だった。
尹元衡は、11代王・中宗(チュンジョン)の三番目の王妃だった文定(ムンジョン)王后の実弟である。
彼は姉に引き立てられて、高官にのぼりつめていた。
そんな尹元衡は図に乗って料亭通いを続けていたが、その中で鄭蘭貞が気に入り、妾にした。
しかし、鄭蘭貞のほうは高官の妾ではとうてい満足できなかった。彼女は初めから尹元衡の正妻になることを狙っていた。
しかも、鄭蘭貞は文定王后に近づきたかった。そこで画策したのが、文定王后が警戒していた敬嬪(キョンビン)・朴(パク)氏を追放して点数をかせぐことだった。当時、敬嬪・朴氏は中宗にもっとも気に入られていた側室だった。(ページ2に続く)
張禧嬪(チャン・ヒビン)の栄光と転落!朝鮮王朝三大悪女に迫る3
文定(ムンジョン)王后と鄭蘭貞(チョン・ナンジョン)が仕組んだ悪行