光海君(クァンヘグン)は暴君より名君?/朝鮮王朝人物列伝特選1

仁穆王后の怒りの訴え

血塗られた王位に座る光海君だが、そのツケを支払うときがきた。
1623年、大規模なクーデターが勃発したのだ。
主犯は、宣祖の孫の1人である綾陽君(ヌンヤングン)。彼は自分の弟である綾昌君(ヌンチャングン)が、謀反の罪で処刑されたことで、光海君に深い憎しみを抱いていた人物だ。
綾陽君は個人的な恨みでクーデターを起こせば、ただの反逆にしかならないことを理解していた。そんな彼が大義名分として掲げたのは、幽閉されている仁穆王后だった。
入念な計画が練られた綾陽君のクーデターは見事成功した。こうして、綾陽君は16代王・仁祖(インジョ)として即位するのだが、問題があった。




愛する息子を殺されて、自身も長年にわたって幽閉されていた仁穆王后が、執拗に光海君の処刑を訴えたのだ。いくら廃位となったとしても、先代王を簡単に処刑することは悪評に繋がりかねない。仁祖は仁穆王后の怒りを鎮めることに尽力する羽目になった。
なんとか、仁穆王后を落ち着かせた仁祖は、光海君を江華島(カンファド)に流罪として、最終的には都からもっとも遠い済州島(チェジュド)にまで流された。
共に流された妻や息子夫婦は流罪の苦しみから早々に命を落とすが、光海君は66歳まで生き抜いた。
すべてを失った王は、絶海の孤島で何を思って死んでいったのだろう……。

文=康 大地(コウ ダイチ)

権力闘争に勝った光海君(クァンヘグン)!朝鮮王朝全史15

光海君(クァンヘグン)は朝鮮王朝でどんな国王だったのか

歴史の闇を語る光海君(クァンヘグン)/朝鮮王朝劇場2

光海君(クァンヘグン)の没落!朝鮮王朝の重大な事件簿4

光海君(クァンヘグン)を追放した仁祖(インジョ)に大義名分はあるのか?

固定ページ:
1 2

3

関連記事

ピックアップ記事

必読!「悪女たちの朝鮮王朝」

本サイトには、「悪女」というジャンルの中に「悪女たちの朝鮮王朝」というコーナーがあります。ここでは、朝鮮王朝の歴史の中で政治的に暗躍した女性たちを取り上げています。
朝鮮王朝は儒教を国教にしていた関係で、社会的に男尊女卑の風潮が強かったのです。身分的には苦しい境遇に置かれた女性たちですが、その中から、自らの才覚で成り上がっていった人もいます。彼女たちは、肩書社会に生きる男性を尻目に奔放に生きていきましたが、根っからの悪女もいれば、悪女に仕向けられた女性もいました。
「悪女たちの朝鮮王朝」のコーナーでは、そんな彼女たちの物語を展開しています。

もっと韓国時代劇が面白くなる!

韓国時代劇によく登場する人物といえば、朝鮮王朝の国王であった中宗、光海君、仁祖、粛宗、英祖、正祖を中心にして、王妃、側室、王子、王女、女官などです。本サイトでは、ドラマに登場する人物をよく取り上げています。

ページ上部へ戻る