光宗(クァンジョン)とは誰なのか/高麗王朝人物列伝2

2人の光宗

結局、「過ぎたるは及ばざるがごとし」という格言の通りになった。
既得権を奪われた豪族たちが、時を同じくして反乱するようになった。
光宗は容赦しなかった。抵抗する豪族たちを次々に粛清した。
しかし、強権を発動し続けるにも限度があった。
いつしか、光宗を強く支えていた家臣の中でも、抵抗する者たちが現れた。
その中で、光宗の疑心暗鬼が深まり、彼は人間不信に陥った。
まさに、孤独な王の転落であった。




もはや、精神の均衡を保てなくなり、光宗は定宗の息子を手にかけ、自分の息子にも殺意を抱いた。結局、光宗が向かった道の先には、血があふれた政争が待っていた。
それは、本当に光宗がめざしたものなのか。
歴史は、2人の光宗を記録に残している。
政治を改革して高麗王朝を安定に導いた名君の光宗。
過剰な強権発動で反対する者たちを粛清した暴君の光宗。
果たして、どちらが本当の光宗だったのか。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

康 熙奉(カン ヒボン)
1954年東京生まれ。在日韓国人二世。韓国の歴史・文化と、韓流および日韓関係を描いた著作が多い。特に、朝鮮王朝の読み物シリーズはベストセラーとなった。主な著書は、『知れば知るほど面白い朝鮮王朝の歴史と人物』『朝鮮王朝の歴史はなぜこんなに面白いのか』『日本のコリアをゆく』『徳川幕府はなぜ朝鮮王朝と蜜月を築けたのか』『悪女たちの朝鮮王朝』『宿命の日韓二千年史』『韓流スターと兵役』など。最新刊は『いまの韓国時代劇を楽しむための朝鮮王朝の人物と歴史』

簡潔に読む!韓国の歴史〔高麗王朝の歴史(前編)〕

簡潔に読む!韓国の歴史〔高麗王朝の歴史(後編)〕

偉大な光宗(クァンジョン)!高麗王朝の基盤を作った4代王

太祖(テジョ)と呼ばれた王建(ワン・ゴン)/高麗王朝人物列伝1

固定ページ:
1 2

3

関連記事

ピックアップ記事

必読!「悪女たちの朝鮮王朝」

本サイトには、「悪女」というジャンルの中に「悪女たちの朝鮮王朝」というコーナーがあります。ここでは、朝鮮王朝の歴史の中で政治的に暗躍した女性たちを取り上げています。
朝鮮王朝は儒教を国教にしていた関係で、社会的に男尊女卑の風潮が強かったのです。身分的には苦しい境遇に置かれた女性たちですが、その中から、自らの才覚で成り上がっていった人もいます。彼女たちは、肩書社会に生きる男性を尻目に奔放に生きていきましたが、根っからの悪女もいれば、悪女に仕向けられた女性もいました。
「悪女たちの朝鮮王朝」のコーナーでは、そんな彼女たちの物語を展開しています。

もっと韓国時代劇が面白くなる!

韓国時代劇によく登場する人物といえば、朝鮮王朝の国王であった中宗、光海君、仁祖、粛宗、英祖、正祖を中心にして、王妃、側室、王子、王女、女官などです。本サイトでは、ドラマに登場する人物をよく取り上げています。

ページ上部へ戻る