最大の領土を誇った広開土大王(クァンゲトデワン)/三国時代人物列伝2

最高級の称賛

勇敢なだけでなく頭脳も明晰だった。結局、朝鮮半島の歴史上で最大となる広大な領土を確保した。
それでも、無骨な男ではなかった。歴史書『三国史記』には「(広開土大王は393年に)平壌(ピョンヤン)に9つの寺を創建した」と書かれてある。
仏教によほど深い理解を示していたのであろう。戦乱の中でも民衆の安寧を願い、仏教を大いに推奨したのだ。




これほどの英雄でも、寿命だけはどうしようもなかった。413年、38歳の若さで生涯を終えた。
息子の20代王・長寿王(チャンスワン)は414年、父の偉業を記録した碑を建てた。それが、今も中国の吉林省に残る「広開土大王陵碑」である。
そこには1800以上の文字が刻まれているが、広開土大王の功績について「国が富強となり、民は安心して暮らし、五穀が豊かに実った」と評されている。最高級の称賛でも語りつくせないほどの大王であった。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

康 熙奉(カン ヒボン)
1954年東京生まれ。在日韓国人二世。韓国の歴史・文化と、韓流および日韓関係を描いた著作が多い。特に、朝鮮王朝の読み物シリーズはベストセラーとなった。主な著書は、『知れば知るほど面白い朝鮮王朝の歴史と人物』『朝鮮王朝の歴史はなぜこんなに面白いのか』『日本のコリアをゆく』『徳川幕府はなぜ朝鮮王朝と蜜月を築けたのか』『悪女たちの朝鮮王朝』『宿命の日韓二千年史』『韓流スターと兵役』など。最新刊は『いまの韓国時代劇を楽しむための朝鮮王朝の人物と歴史』

善徳(ソンドク)女王はこんな人だった/三国時代人物列伝3

朝鮮王朝の三大悪女/張緑水・鄭蘭貞・張禧嬪

朝鮮王朝の中宗(チュンジョン)はどんな国王だったのか

『七日の王妃』歴史解説!燕山君(ヨンサングン)と中宗(チュンジョン)と端敬(タンギョン)王后の運命

奇皇后とはいったいどんな女性だったのか

固定ページ:
1 2

3

関連記事

ピックアップ記事

必読!「悪女たちの朝鮮王朝」

本サイトには、「悪女」というジャンルの中に「悪女たちの朝鮮王朝」というコーナーがあります。ここでは、朝鮮王朝の歴史の中で政治的に暗躍した女性たちを取り上げています。
朝鮮王朝は儒教を国教にしていた関係で、社会的に男尊女卑の風潮が強かったのです。身分的には苦しい境遇に置かれた女性たちですが、その中から、自らの才覚で成り上がっていった人もいます。彼女たちは、肩書社会に生きる男性を尻目に奔放に生きていきましたが、根っからの悪女もいれば、悪女に仕向けられた女性もいました。
「悪女たちの朝鮮王朝」のコーナーでは、そんな彼女たちの物語を展開しています。

もっと韓国時代劇が面白くなる!

韓国時代劇によく登場する人物といえば、朝鮮王朝の国王であった中宗、光海君、仁祖、粛宗、英祖、正祖を中心にして、王妃、側室、王子、王女、女官などです。本サイトでは、ドラマに登場する人物をよく取り上げています。

ページ上部へ戻る