日本に韓国時代劇が定着するきっかけになった作品といえば、それはやはり『宮廷女官 チャングムの誓い』である。このドラマの中で主人公のチャングム(長今)は医女になっていた。果たして、朝鮮王朝時代の医女の制度は、どのように誕生したのだろうか。
チャングムの存在感
『宮廷女官 チャングムの誓い』の中で主人公のチャングムは、当初は宮廷料理人として腕を大いに振るっていたが、陰謀に巻き込まれて済州島(チェジュド)に島流しにあい、不遇な日々を過ごす。
しかし、済州島で医術を学んで新たに生きる勇気を取り戻し、再び宮廷に帰って王の主治医まで登りつめた。
物語は全52話だが、前半と後半でチャングムの職種をガラリと変え、料理と医療という人間の生に最も関わる題材をふんだんに盛り込んだ点は見事だった。
また、どんな困難にも負けず必死に自分の道を切り開いていくチャングムの姿は、輝きに満ちていて魅力的だった。
そんな彼女の前にいつも立ちはだかるのが、身分の違いだった。
なにしろ、朝鮮王朝時代の社会は、格式と序列を重んじる儒教的な身分制度によって成り立っていた。
特に意外だったのは、当時の医女の身分が非常に低かったことだ。
それは、たとえ王の主治医であっても変わらなかった。
なぜ朝鮮王朝では医女の身分が低かったのか。
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