燕山君の異母弟
燕山君に反感を持つ臣下たちは、我先にと反乱軍へと加入していった。
順調に戦力が整っていく反乱軍。そんな彼らは成宗(ソンジョン)の二男で、燕山君の異母弟にあたる晋城(チンソン)を新たな王に擁立しようと計画した。
一方、反乱は内密に進められていたため、当事者である晋城さえもそのことを知らされていなかった。
1506年のクーデターの夜、晋城の屋敷に数多くの人影が見えた。そのことに気付いた彼は、自分を殺しに刺客が来たものと勘違いした。
「敵の手にかかるくらいならば、王族としての誇りを持って、自ら死を選ぼう」
晋城は死を覚悟した。
しかし、いつまでたっても誰も攻め込んでこないことに疑問を感じた彼は、使いを出して調べさせた。それでようやく、自分を護衛するために人が集まってきていることを知った。
ほっと胸をなでおろす晋城。しかし、一つの疑問が沸いてきた。
「なぜ、こんな深夜に護衛が来たのか。そんな話は聞いていないが……」
実際、晋城の屋敷に送りこまれた数十人の兵士たちは、成希顔たちの指示で、クーデター後の晋城の身を守るために送られたのだった。(ページ3に続く)