果たして奇皇后の消息は?
北元の皇帝となったのがアユルシリダラである。トゴン・テムルは明から逃げるときに絶命していたからだ。
「息子を皇帝にする」
そのことに執念を燃やしていた奇皇后。
彼女はついに悲願を達成したのだ。
奇皇后もさぞかし喜んだことだろう……と推察できるが、肝心の奇皇后の行き先はまったくわからなかった。
なぜなら、元があわててカラコルムに逃げていく途上で、奇皇后の消息が不明になったからだ。
果たして、奇皇后はどうなってしまったのか。
彼女の最期を知る者はいない。
希代の怪女はこうして、歴史の中で闇に消えたのである。
(終わり)
文=慎虎俊(シン・ホジュン)+「歴史カン・ヒボン」編集部