人生を左右する科挙にも不正が多かった

科挙の八弊

一応は厳格に行なわれていたように思える科挙も、実は高官の息子が優遇されたり、今でいう裏口入学のようなものが横行したりしたようだ。
そんな風潮に憤って、最高学府だった成均館(ソンギュングァン)の高官が、1818年に「科挙の八弊」を告発している。
この場合の「八弊」とは、以下のような不正だ。
・答案用紙をすりかえてしまう
・参考書を試験会場に持ち込む
・カンニングをする
・事前に試験問題を手に入れる
・受験生をすりかえてしまう
・怪しい人物が試験会場にもぐりこむ
・外で書いた答案用紙を提出する
・文を作成するときにおかしな細工をする




確かに、あらゆる不正が含まれているように思える。
今から200年前の告発だが、「時代が変わっても、やることが結局は同じかな……」という気がしないでもない。
いずれにしても、先にあげた「八弊」を通して科挙に合格して官僚になった人が確実にいたわけであり、そういう人が出世をしたとすれば、政権内部が腐敗していくのも、やはり避けられなかったことだろう。
成均館の高官が科挙の現実に憤ったのも無理はない。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

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