上機嫌な継母
日に日に体調を崩す仁宗を周囲が心配したが、継母である文定王后だけは、冷やかな態度を崩さなかった。
朝鮮王朝の歴代王の死には毒殺を疑うケースが存在するが、あくまでも疑惑にすぎなかった。しかし、仁宗の毒殺説だけは現実味を帯びている。
中宗が亡くなった翌年、仁宗は文定王后から挨拶に来るように呼び出された。
体調のよくない王を臣下たちは止めるが、仁宗は息子として行かなくてはならないと譲らなかった。
ところが、仁宗が訪ねていくと、文定王后は上機嫌に餅を勧めてきた。継母が優しく接してくれたことを喜んだ仁宗は、出された餅をそのまま食べた。
しばらくすると、仁宗は下痢がひどくなり、数日後には高熱を出して完全に気を失ってしまった。(ページ4に続く)
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