金介屎(キム・ゲシ)!王に仕えた悪の女官

 

朝鮮王朝人物列伝/第23回

金介屎(キム・ゲシ)は、女官でありながら強い政治力を持った女性だった。その一方で悪女としても知られている。いったい、彼女は女官としてどのような人生を歩んだのだろうか。

ドラマ『王の女』で金介屎を演じたパク・ソニョン

ドラマ『王の女』で金介屎を演じたパク・ソニョン

女官としての立場

幼くして王宮に入った金介屎。後に14代王・宣祖(ソンジョ)の側で仕えた。
宣祖は、側室から生まれた庶子だったため、正室の産んだ息子を後継者にしたいと考えていた。しかし、最初の正室の懿仁(ウィイン)王后は息子を産むことができなかったので、側室の産んだ息子から選ばざるを得なくなった。その候補にあがったのは、長男の臨海君(イメグン)と二男の光海君(クァンヘグン)の2人だ
朝鮮王朝には「後継者は必ず長男がなる」という決まりがあり、本来なら長男の臨海君が選ばれるのが筋だ。しかし、臨海君は1592年に起きた豊臣軍の朝鮮出兵の際に、加藤清正軍の捕虜となってしまう。そのときの屈辱が忘れられず、臨海君は荒れた生活を送るようになった。




一方、豊臣軍との戦いで大きな活躍を見せた光海君。後継者として立場的に有利だった彼は、金介屎の工作が功を奏したこともあって世子に指名される。
しかし、最初の正室である懿仁王后が世を去った後、光海君の立場を危うくする出来事が起きる。宣祖に新たな王妃として迎えられた仁穆(インモク)王后が、1606年に息子の永昌大君(ヨンチャンデグン)を産んだのである。
念願だった嫡子(ちゃくし)の誕生をとても喜んだ宣祖だが、永昌大君を世子にするという願いは叶わず、1608年に世を去ってしまう。
仁穆王后は、2歳の永昌大君に王位を継がせるのは無理と判断し、世子に指名されていた光海君が15代王となる。その裏では、金介屎がうまく立ち回って光海君の即位に一役買っていた。(ページ2に続く)

固定ページ:

1

2 3

関連記事

ピックアップ記事

必読!「悪女たちの朝鮮王朝」

本サイトには、「悪女」というジャンルの中に「悪女たちの朝鮮王朝」というコーナーがあります。ここでは、朝鮮王朝の歴史の中で政治的に暗躍した女性たちを取り上げています。
朝鮮王朝は儒教を国教にしていた関係で、社会的に男尊女卑の風潮が強かったのです。身分的には苦しい境遇に置かれた女性たちですが、その中から、自らの才覚で成り上がっていった人もいます。彼女たちは、肩書社会に生きる男性を尻目に奔放に生きていきましたが、根っからの悪女もいれば、悪女に仕向けられた女性もいました。
「悪女たちの朝鮮王朝」のコーナーでは、そんな彼女たちの物語を展開しています。

もっと韓国時代劇が面白くなる!

韓国時代劇によく登場する人物といえば、朝鮮王朝の国王であった中宗、光海君、仁祖、粛宗、英祖、正祖を中心にして、王妃、側室、王子、王女、女官などです。本サイトでは、ドラマに登場する人物をよく取り上げています。

ページ上部へ戻る