清に降伏
クーデターを成功させた綾陽君は、16代王の仁祖(インジョ)になります。諡(おくりな)に「祖」がついていますから、名前だけ見ると政治的にどれほど功績があったのかと思う人もいるでしょうが、実際には屈辱にまみれた王でした。
彼を苦しめたのが、朝鮮半島の北部で日増しに勢力を強めた「後金」です。この国は後に「清」となって中国大陸も制覇します。それほど軍事力に長けた国だったのです。
その後金が仁祖の治世時代にひんぱんに朝鮮王朝を攻撃してきます。まず、1627年に朝鮮王朝は大々的に攻められて危うかったのですが、なんとか和睦に持ち込んで事なきを得ました。
相手の軍事力を考えれば、朝鮮王朝も後金をもっと尊重したほうがよかったのですが、豊臣軍の侵攻のときに支援してくれた明の顔色ばかりうかがって、後金については「田舎の蛮族」とさげすんでいました。
こうした態度は、相手にすぐ悟られてしまいます。朝鮮王朝が和睦条件を守らなかったことで後金が激怒し、国名を「清」に変えたあとの1636年12月に10万人を越える大軍で攻めてきました。朝鮮王朝はまったく太刀打ちできず、仁祖や高官たちはあたふたと都の南にあった山城に逃げ込みます。そこで籠城をしていましたが、ついにこらえきれなくなって翌年1月に清に降伏します。
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