首陽大君のための政権
癸酉靖難で殺されなかった人たちも、後々になって多くが死んだ。反逆者にされた人の家族や親戚にも重い刑罰がくだされた。
反逆者の父と15歳以上の息子は殺され、14歳以下の息子は官奴(官庁に属する奴隷) になり、また反逆者の妻や娘や妾たちはみんな功臣たちの所属になった。つまり、女性は自分たちの仇のもとに送られたのだ。
政変の次の日、首陽大君は王朝のすべての政治的権力を手中におさめた。彼が得た官職は、それ以前もそれ以後も誰も持てなかったほど強力だった。いわば、総理大臣であり王の顧問であった。
また、政府の人事権と国の軍事統帥権も握っていた。一応、王が任命するという形は取っていたものの、常識的には存在できない、いや、存在してはならないほどの職責を首陽大君は独り占めにしたのだ。
それに加えて、首陽大君は特別に王室護衛部隊100人の警護も受けるようになった。すでに臣下の地位は越えたともいえるだろう。
同時に、首陽大君と共に政変で功を立てた人たちは、信じられないほど出世した。これで、首陽大君の意のままに動く新しい政権が誕生した。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
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