首陽(スヤン)大君の反乱!激動の朝鮮王朝史3

襲われた金宗瑞

1453年に起きたのが癸酉靖難(ケユジョンナン)というクーデターだ。これは、首陽大君が金宗瑞を襲うという事件だった。
まず、首陽大君は従者を2人だけ連れて金宗瑞の屋敷に行くと、金宗瑞の長男が屋敷の正門の前にいた。首陽大君は「金宗瑞殿を呼んできてほしい」と依頼する。長男が門の中に入ったあと、しばらくして金宗瑞が門から現れた。
彼は「どうぞ、中へお入りください」と首陽大君に言うが、首陽大君は門の中に入ったら殺されるかもしれないと警戒し、屋敷に入らなかった。
そのうえで、首陽大君は紗帽(サモ/セミの羽のような角が後ろに2つ付いた冠)の角が1つ取れていたことに気づき、「角を1つ貸してほしい」と頼む。
金宗瑞が長男に「持ってまいれ」と命令し、長男が門の中に入っていく。これによって、金宗瑞は1人になった。すかさず、首陽大君は金宗瑞に「読んでほしい書状があります」と言って、書状を渡す。受け取った金宗瑞が読もうとしたが、すでに日没後で暗くて読めなかった。




金宗瑞は月明りで読もうと思い、書状を月に照らすように掲げた。その瞬間を捉えて首陽大君が合図すると、従者が隠し持っていた鉄槌を取り出して、金宗瑞をめがけて振り降ろした。
倒れこんだ金宗瑞。そこに、紗帽の角を持った長男が戻ってきて、「父上!」と絶叫して金宗瑞に駆け寄る。すると、もう1人の従者が隠し持っていた刀を取り出して、長男に切りつけた。
かくして、金宗瑞は首陽大君によって排除されてしまった。(第4回に続く)

文=康 熙奉(カン ヒボン)

非道な王位強奪を強行した世祖(セジョ)

甥の端宗(タンジョン)から王位を奪った世祖(セジョ)の悲劇とは?

『不滅の恋人』のイ・ガンのモデルは首陽大君(スヤンデグン/世祖〔セジョ〕)!

首陽大君(スヤンテグン)〔世祖(セジョ)〕が開いた秘密会議!

世祖(セジョ)!甥から王位を奪った国王

固定ページ:
1

2

関連記事

ピックアップ記事

必読!「悪女たちの朝鮮王朝」

本サイトには、「悪女」というジャンルの中に「悪女たちの朝鮮王朝」というコーナーがあります。ここでは、朝鮮王朝の歴史の中で政治的に暗躍した女性たちを取り上げています。
朝鮮王朝は儒教を国教にしていた関係で、社会的に男尊女卑の風潮が強かったのです。身分的には苦しい境遇に置かれた女性たちですが、その中から、自らの才覚で成り上がっていった人もいます。彼女たちは、肩書社会に生きる男性を尻目に奔放に生きていきましたが、根っからの悪女もいれば、悪女に仕向けられた女性もいました。
「悪女たちの朝鮮王朝」のコーナーでは、そんな彼女たちの物語を展開しています。

もっと韓国時代劇が面白くなる!

韓国時代劇によく登場する人物といえば、朝鮮王朝の国王であった中宗、光海君、仁祖、粛宗、英祖、正祖を中心にして、王妃、側室、王子、王女、女官などです。本サイトでは、ドラマに登場する人物をよく取り上げています。

ページ上部へ戻る