悲しい少年時代
「洪吉童伝」は4代王・世宗(セジョン)の時代を舞台に義賊の洪吉童(ホン・ギルドン)が活躍する物語である。
物語は朝鮮王朝の臣下だった洪宰相が本妻から長男、妾から吉童をもうけるところで始まる。洪宰相は2人の息子をともに愛していたが、妾の子である吉童を可愛がることはできなかった。それは、吉童が妾の子として生まれたので、父や兄とは身分に差があったからだった。
このことは幼い吉童につらい現実を突きつける。彼は日ごろから兄より低い身分として差別されてきた。
悲しい少年時代を送る吉童……。彼に更なる試練が襲い掛かる。父の妾の1人が吉童の命を奪おうと刺客を放ってきたのだ。
吉童は見事に刺客を返り討ちにするが、人を殺してしまったために、家から逃げ出さなければならなくなった。
悲しみを抱えて旅に出た吉童。あてもない彼は盗賊の集落に迷いこんでしまう……。本来なら命を落としてもおかしくない状況だが、盗賊たちは吉童を一目見ただけで、彼が普通の人間ではないことを悟り、自分たちの頭領になるように頼み込んだ。
(ページ3に続く)
中宗(チュンジョン)はなぜ文定(ムンジョン)王后の悪行を止めなかった?