「無能の暴君」
燕山君は、学問が好きではなかったので、儒教的な教養主義の高級官僚たちが大嫌いだった。
そこに目を付けた奸臣は、「王の実務を記録する係の者たちが7代王の世祖(セジョ)大王を侮辱した文を書いています」と告げ口をした。
その言葉を真に受けた燕山君は、多くの罪なき人たちから官職を剥奪したうえで斬首の刑に処した。
生活も荒れる一方で、王朝の最高学府である成均館(ソンギュングァン)までも酒宴場にして、酒池肉林の宴を連日催した。
こんな王の下では庶民の反感も大きくなる。
人々は、いたるところにハングルで「王は女と酒しか頭にない最低な人物だ」「無能の暴君」というような張り紙を貼っていった。その話を聞いた燕山君は、庶民がハングルを使うことも禁止した。
王宮が混乱する中、さらに事態を悪化させる出来事が起こった。出世欲にかられた者が、宮中でタブーとされていた燕山君の母の追放劇をばらしたのだ。それまで、燕山君は何も知らされていなかったのに……。
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