並んでまで食べたくない
映画のエンドロールにおける日韓の違い。習慣が異なるのは確かだが、やはり韓国の人のほうがせっかちだ。
なにしろ、韓国で一番使われる言葉が「パルリ(速く)」ではないか、と言われるほどである。
食堂でも、「パルリ」と叫んでいる人をよく見かける。注文したものが来ないのはわかるが、たいていはまだ5分も待っていない。よほど待つことが苦手なのだろう。
私(康熙奉〔カン・ヒボン〕)の事務所は神田神保町にあるが、昼どきに長蛇の列を作っている食堂が4つある。讃岐うどん、やきそば、ラーメン、焼肉の店である。実際に数えたら、やきそばの店は炎天下に70人が並んでいた。
行列の多さを見た韓国人はかならず驚く。
「うどんや焼きそばを食べるのに、あんなに並ぶんですか。韓国では考えられない」
そうなのである。私も韓国で、長蛇の列をつくっている食堂を見た記憶がない。
帰省ラッシュのときに超満員の列車に乗るためとか、大好きなスターのコンサートを見たためとか、特別な理由で行列ができることはあるが、食堂に並ぶのは時間の無駄と考える韓国人は多い。
そのワケは?
「だって、食堂は他にいくらでもあるでしょ。並ぶ理由がない」
韓国ではその通りである。
しかし、日本では違う。
「好きな店に入るためなら、いくらでも待つ」
行列に慣れた人たちは同じように、映画のエンドロールも最後まで見るのである。
文=康 熙奉〔カン・ヒボン〕
構成=「歴史カン・ヒボン」編集部