歴史の闇を語る光海君(クァンヘグン)/朝鮮王朝劇場2

済州島の水がよく合った

光海君は、側近であった高官の李爾瞻と女官の金介屎の名を挙げてから、さらに説明を続けた。
「むろん、あの2人にしても、永昌大君の存在が王位を脅かすと知っていたからこそ、早めに排除することを願ったのだろう。ただ、余は永昌大君をとても可愛がっていた。あの子とは31歳も離れていて弟というより息子みたいなものだったからね。後から、あの2人が刺客を送って永昌大君を殺したことを知ったときは、激怒して2人を死罪にしようと思ったくらいだ。でも、あの2人にしても、余のためだと思って汚れ役を引き受けたのだろう。そう考えると死罪にすることはできず、処罰もしなかった。とはいえ、余が殺したと言われれば、それは仕方がない。王たる者、最後の責任は取らなければならないだろうから」
「よくわかりました。ただ、永昌大君の母であった仁穆(インモク)王后の王妃としての資格を剥奪して幽閉したのはやりすぎでした。仁穆王后はあなたの継母でしたからね。儒教的な孝行の精神に反しており、結局はそれが綾陽君に、クーデターを起こす大義名分を与えてしまったのではないでしょうか」
「仁穆王后を幽閉しなければ、彼女はきっと余を恨んで反逆したであろう。孝行に反していたが、やむをえないことだった。ただし、妹の貞明(チョンミョン)公主まで幽閉したのは失敗であった。彼女は、幽閉せずに早めに嫁に出すべきだったと、今でも後悔しているよ」




「いずれにしても、あなたは身内に対して、ずいぶんと罪深いことをしてしまいましたよね」
「王位を守るということはそういうことなのだ。しかし、負い目もあった。だからこそ、余は王としてこの国を守るために、最大限の努力をした。外交にしても減税政策にしても、その成果の表れだ。まだまだ余に政治を任せてくれればもっと成果を出せたのに、あの出来そこないの綾陽君がクーデターを起こしたばかりに、さいはての島にまで流される羽目になってしまった」
「でも、そのおかげであなたはずいぶん長生きしたわけですよね。済州島の水が、よく合ったのではないですか」
「そうかもしれない。これも、運命というものだろう。ただ、人生というのは、やはり哀しいものよ。こうして釣りをすることでしか、自分の生きる道を探すことができないのだから」
そう言った瞬間、光海君が持つ釣竿が大きくしなった。大物が掛かったのだ。そのときの光海君の胸躍らせるような明るい表情が、とても印象的だった。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

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