大妃が実権を握ると……
王が元気に執政をしていれば、政治的に大妃の出番はなかった。
しかし、王が急死して幼い王子が即位したときには、いよいよ大妃の出番となった。王が未成年の間は、大妃が垂簾聴政(すいれんちょうせい/摂政のこと)を行なうことが多かったからだ。
こういうときにかぎって、政治が大いに乱れた。
なぜなら、大妃が一族の男たちを重用して側近政治で王朝を牛耳り、賄賂が横行したからである。
「大妃が実権を握ると政治が乱れる」
この事実が朝鮮王朝時代の悪弊になっていた。
まさに、『オクニョ 運命の女(ひと)』で描かれた時代も、文定大妃が露骨に側近政治を行なって、悪政がはびこっていた。そういう意味では、朝鮮王朝にとって不幸な時期だったのである。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
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