悲惨な最期
しばらくは無事だったが、脅えにも限界があった。
「都から使者が来るらしい」
鄭蘭貞はそんな噂を聞いた。
「ついに追手がやってきた。つかまったら殺される」
いよいよ鄭蘭貞も観念した。
あまりに悲観した鄭蘭貞は毒薬をのんで自害した。
早とちりだった。
使者は鄭蘭貞をつかまえに来たわけではなかった。
別の用事でやってきたのである。
しかし、もう手遅れだった。
尹元衡も悲嘆に暮れて鄭蘭貞の墓の前で自決した。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
康 熙奉(カン ヒボン)
1954年東京生まれ。在日韓国人二世。韓国の歴史・文化と、韓流および日韓関係を描いた著作が多い。特に、朝鮮王朝の読み物シリーズはベストセラーとなった。主な著書は、『知れば知るほど面白い朝鮮王朝の歴史と人物』『朝鮮王朝の歴史はなぜこんなに面白いのか』『日本のコリアをゆく』『徳川幕府はなぜ朝鮮王朝と蜜月を築けたのか』『悪女たちの朝鮮王朝』『宿命の日韓二千年史』『韓流スターと兵役』など。最新刊は『いまの韓国時代劇を楽しむための朝鮮王朝の人物と歴史』。
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