母の後輩たち
値段を聞いてみると、5万ウォン(約5千円)だという。
私は苦笑いを浮かべながら、「5万ウォン? 小食だから2万ウォンのでいい」と言っておく。
相手はちょっとあきれた表情でたらいの中から小さいアワビを取り出し、まないたの上で手際よくさばくと、白い皿に盛って手渡してくれる。
焼酎を飲みながらアワビの刺身を食べる。
固くてコリコリしていて容易に噛み切れないが、口の中に潮の香りが満ちて、舌に独特なヒンヤリ感が漂う。
うまく噛み切ると、コロッと身が裂けていき、あっさりした味わいが舌に残る。この食感の良さがアワビ人気の秘訣なのか。
アワビだけでなく、タコ、サザエ、ホヤなども美味しい。
海女が採ってきたばかり……と思うと、さらに味わいが深くなる。母が海女をしていた頃から80年以上も過ぎたが、済州島の海女は今も元気に海に潜っている。
文=康 熙奉〔カン・ヒボン〕
構成=「歴史カン・ヒボン」編集部