韓国では先祖のことを知りすぎている
制作予算のことで頭が痛いはずのプロデューサー。子孫対策までしなければいけないのだから、韓国の制作陣は苦労が多い。
これもみんな、視聴者が誰か有名な歴史人物の子孫たちだからだ。制作側は、より面白くするために極端な悪役や面白い道化役の人を作ったりするが、先祖がそういう役回りをさせられると子孫たちが絶対に黙っていない。
一方の日本で、悪役になった人の子孫がテレビ局に怒鳴りこんだという話はほとんど聞いたことがない。
たとえば、吉良上野介の子孫が『忠臣蔵』のドラマに抗議したことがあるだろうか。もしそんなことを子孫がしていたら、年末になる度に目がまわる忙しさになってしまうだろう。
しかし、韓国ではよくある話だ。
それだけ先祖のことを誇りにしているのだ。
すべて『族譜(チョッポ)』という膨大な家系書が各家庭にあって、自分たちの先祖のことを詳しく知っているからである。
日本では、よほどの名門でないかぎり、何百年も前の先祖のことはわからない。一方の韓国では誰もが、自分の先祖にどんな人がいたのかがわかっている。
それだけに、韓国で時代劇を作るのも、なかなか大変なのである。
文=康 熙奉〔カン・ヒボン〕
構成=「歴史カン・ヒボン」編集部