なるほど韓国13「韓国では街にお寺がない」

海印寺2

有名な海印寺も山に囲まれた場所にある

仏教は迫害されてきた

朝鮮王朝の前の高麗(コリョ)王朝は仏教国家だった。なにしろ、初代王の王建(ワン・ゴン)が遺訓で「仏教を重んじよ」と命じたくらいだ。
おかげで仏教が盛んになったのはいいのだが、寺院が巨大になって力を持ちすぎ、政治に介入したのがいけなかった。
それが、高麗王朝が衰退した原因の1つに挙げられている。
1392年に高麗王朝を滅ぼして建国された朝鮮王朝は、仏教を排斥して儒教を国教にする大転換を行なった。この政策を「崇儒排仏」と言う。
朝鮮王朝は儒教の価値観を全土に浸透させた。それとは反対に、仏教を衰退させるために、市中にあった寺院を追放した。仕方がないので、寺院は町を離れて山の中腹などに移らざるをえなくなった。
朝鮮王朝の政策は徹底していた。仏教の僧侶は最下層の身分に落とされ、市中を歩くことも禁止された時期があった。今も韓国の街に仏教寺院がほとんどないのは、こうした朝鮮王朝時代の「排仏」の名残なのである。




ただし、仏教を信奉する人は朝鮮王朝時代にも少なくなかった。特に、王族の女性たちに仏教徒が多く、彼女たちは王宮から出て山の中腹にある寺院によく足を運んでいた。
序列主義を認める儒教と違って、仏教には平等博愛の精神がある。それが、「排仏」の政策にもかかわらず仏教が韓国で生き残った最大の要因だろう。
(ページ3に続く)

なるほど韓国1「韓国には老舗がほとんどない」

なるほど韓国2「食べ残す韓国、残さない日本」

なるほど韓国3「死罪の方法もこんなに違う」

なるほど韓国11「韓国でタクシーに乗る」

なるほど韓国12「ドラマの放送事故」

なるほど韓国14「韓国のテレビ局」

固定ページ:
1

2

3

関連記事

ピックアップ記事

必読!「悪女たちの朝鮮王朝」

本サイトには、「悪女」というジャンルの中に「悪女たちの朝鮮王朝」というコーナーがあります。ここでは、朝鮮王朝の歴史の中で政治的に暗躍した女性たちを取り上げています。
朝鮮王朝は儒教を国教にしていた関係で、社会的に男尊女卑の風潮が強かったのです。身分的には苦しい境遇に置かれた女性たちですが、その中から、自らの才覚で成り上がっていった人もいます。彼女たちは、肩書社会に生きる男性を尻目に奔放に生きていきましたが、根っからの悪女もいれば、悪女に仕向けられた女性もいました。
「悪女たちの朝鮮王朝」のコーナーでは、そんな彼女たちの物語を展開しています。

もっと韓国時代劇が面白くなる!

韓国時代劇によく登場する人物といえば、朝鮮王朝の国王であった中宗、光海君、仁祖、粛宗、英祖、正祖を中心にして、王妃、側室、王子、王女、女官などです。本サイトでは、ドラマに登場する人物をよく取り上げています。

ページ上部へ戻る