光宗(クァンジョン)はどんな王だったのか/三国高麗国王列伝8

孤高の王

最終的に光宗は、亡き兄・定宗の息子を手にかけ、自分の1人息子にまで疑いの眼を向けるようになってしまった。
こうなると、もはや「裸の王様」であった。離れていった人々の心は、再び帰ってこなかった。
晩年はさぞかし、心苦しい日々が多かったことだろう。
歴史的にみると、光宗には2つの顔があった。
王権を強化して政治改革を断行した名君……。
逆らう者を粛清し続けた恐怖政治の主……。
果たして、どちらが本当の光宗であったのか。
おそらく、両方とも光宗の本性だったに違いない。あまりに能力が高すぎるがゆえに、光宗は「唯我独尊」で行くしかなかったのだ。彼に悔いがあるとすれば、自分を制御できなかったことではないのか。
そういう意味で、光宗は孤高の王であった。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

康 熙奉(カン ヒボン)
1954年東京生まれ。在日韓国人二世。韓国の歴史・文化・社会や、日韓交流の歴史を描いた著作が多い。主な著書は『知れば知るほど面白い朝鮮王朝の歴史と人物』『宿命の日韓二千年史』『韓流スターと兵役』など。

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