金宗瑞の油断
陽が沈むかけたころ、2人の従者を連れて金宗瑞の屋敷にやってきた首陽大君は、門のところで数人の男たちと話していた息子の金承珪(キム・スンギュ)に「父上にお会いしたい」と言った。
しばらくすると、屋敷の中から金宗瑞が出てきた。首陽大君は金宗瑞から中に入るように言われるが、多くの武士に待ち伏せされていることを警戒して中に入ろうとしなかった。
いつまでも屋敷の中に入ろうとしない首陽大君の様子を見た金宗瑞は、自ら彼に近づいていった。首陽大君は「これを読んでほしい」と言って書状を取り出した。それを受け取った金宗瑞は、辺りが暗かったので月明りに照らして読もうとした。その隙を見逃さなかった首陽大君が合図を送ると、一緒に来ていた従者の1人が、金宗瑞めがけて鉄槌を振り下ろした。不意打ちを受けた金宗瑞はその場に倒れ込む。そこへ戻ってきた金承珪が父親を守るように覆いかぶさった。しかし、そんなこと関係ないというような感じで、もう1人の従者が刀で2人を切りつけた。(ページ3に続く)