厳格に決められた人々の身分
朝鮮王朝の身分制度の中で、両班の下になるのが中人(チュンイン)である。専門的な能力を持った人たちのことだ。
医者や通訳などの技術官、両班を補佐して実務を取り仕切った下級役人、両班から格下げとなった庶子やその子孫などが中人となっていた。
身分制度の三番目が常民(サンミン)である。庶民のことであり、日本の江戸時代の「士農工商」でいえば「農工商」にあたる。つまり、多くは農民、職人、商人だった。
この人たちも科挙を受験することはできたが、実際には教育を受ける機会がなく、事実上、官僚として出世することはほぼ不可能だった。また、常民は人口では一番多いのだが、韓国時代劇にはあまり出てこない。そのことは、韓国時代劇で庶民を描いた作品がいかに少ないかを端的に示している。
四番目は、身分制度の最下層に位置する賎民(チョンミン)である。奴婢、芸人、妓生、巫女などが該当する。奴婢の場合は、父母のうちでどちらかが奴婢であると、子供も奴婢となった。また、一度その籍に入ってしまうと抜け出すことができず、売買・相続・贈与の対象となってしまった。(ページ3に続く)