綾陽君(ヌンヤングン)/仁祖(インジョ)の生涯〔後編〕

滅ぼされた長男一家

高官たちは姜氏の無実を主張したが、仁祖は聞く耳を持たなかった。姜氏は3月13日に実家に戻されてしまい、最後には自害せざるをえなくなった。
夫を殺されて自分も死罪。姜氏は無念の中で死んでいった。
そのあとの悲劇も凄まじかった。
姜氏の母や兄弟たちは無惨にも処刑されてしまい、息子3人は済州島(チェジュド)に流された。
それだけではない。
息子3人のうちの2人は暗殺のような形で絶命している。仁祖や趙(チョ)氏の暗躍があったに違いない。まさに、一家が滅ぼされてしまったのだ。
非道な仁祖であったが、彼は1649年の5月に世を去った。
享年54歳だった。




後を継いだのは二男の鳳林(ポンニム)で、17代王・孝宗(ヒョジョン)として即位した。
仁祖という強力な後ろ楯を失った趙氏は立場が苦しくなった。
そんな中で、趙氏は荘烈(チャンニョル)王后から告発された。「趙氏は私と王(孝宗)を呪詛(じゅそ)している」と名指しされたのだ。
荘烈王后は仁祖の継妃であり、形のうえで孝宗の母にあたる。そんな王族最長老の女性の告発は非常に重い。
結局、趙氏は死罪になってしまった。
様々な悪事の報いを受けたとも言えるだろう。
趙氏は仁祖の寵愛を受けている間、荘烈王后を卑下し続けた。権勢があったので、そんな無礼なことができたのだが、最後は荘烈王后に復讐され、毒をあおいで自決せざるをえなくなった。(ページ4に続く)

光海君(クァンヘグン)を追放した仁祖(インジョ)に大義名分はあるのか?

歴史解説!仁祖(インジョ)と貞明(チョンミョン)公主の確執

光海君(クァンヘグン)が仁穆(インモク)王后に復讐された日(前編)

仁祖(インジョ)!最大の屈辱を受けた王

固定ページ:
1 2

3

4

関連記事

ピックアップ記事

必読!「悪女たちの朝鮮王朝」

本サイトには、「悪女」というジャンルの中に「悪女たちの朝鮮王朝」というコーナーがあります。ここでは、朝鮮王朝の歴史の中で政治的に暗躍した女性たちを取り上げています。
朝鮮王朝は儒教を国教にしていた関係で、社会的に男尊女卑の風潮が強かったのです。身分的には苦しい境遇に置かれた女性たちですが、その中から、自らの才覚で成り上がっていった人もいます。彼女たちは、肩書社会に生きる男性を尻目に奔放に生きていきましたが、根っからの悪女もいれば、悪女に仕向けられた女性もいました。
「悪女たちの朝鮮王朝」のコーナーでは、そんな彼女たちの物語を展開しています。

もっと韓国時代劇が面白くなる!

韓国時代劇によく登場する人物といえば、朝鮮王朝の国王であった中宗、光海君、仁祖、粛宗、英祖、正祖を中心にして、王妃、側室、王子、王女、女官などです。本サイトでは、ドラマに登場する人物をよく取り上げています。

ページ上部へ戻る