鄭蘭貞の暗躍
さらなる立場を欲した鄭蘭貞は、文定王后に取り入ろうと画策。文定王后の代わりに汚れ役になる決意を固めた。
鄭蘭貞が目を付けたのが、文定王后最大の悩みである王位継承問題への介入だった。
当時、王の後継ぎである世子(セジャ)として指名されていたのは、中宗の二番目の王妃・章敬(チャンギョン)王后の息子だった。文定王后は大変な野心家で、自分の息子を王にしたいと思っていた。そのためには、世子の存在が邪魔だった。
文定王后の意を汲んだ鄭蘭貞は、世子を排除しようと動き出した。こうして、彼女は生きたネズミを捕まえると尻尾に火をつけて世子の屋敷に放った。世子は無事に逃げ出すことができたが、屋敷には燃え尽きたネズミの死体が見つかった。
すぐに王宮で犯人探しが始まった。その際に一番迅速に動いたのが文定王后だ。彼女は、中宗が寵愛していた側室の敬嬪朴(キョンビンパク)氏の名前を犯人として挙げた。敬嬪朴氏は無実ではあったが、王妃である文定王后の言葉は重く、敬嬪朴氏は追放されてしまう。
一方の鄭蘭貞は、世子を亡き者にすることは失敗したが、敬嬪朴氏を追い出すことに成功した功績が認められた。そして、自身の野望を叶えようとする文定王后に重用されたのである。(ページ3に続く)