王妃となった張禧嬪
1689年、張禧嬪からの度重なる催促を受けていた粛宗は、高官たちを集めて昀を元子にすると言った。それに対して高官たちは反対意見を述べた。なぜなら、正妻の仁顕王后は21歳と若く、まだ息子を産む可能性が十分にあるからだ。
しかし、粛宗は「すでに決めたことだ」と反対意見をすべて無視した。さらに、彼は嫉妬深いという理由から仁顕王后を廃妃にすると、張禧嬪を新たな王妃として迎えた。
ついに王妃の座を手に入れた張禧嬪。彼女の息子である昀も王の後継者となった。もはや張禧嬪に不可能はなかったが、この後、彼女は転落人生を歩むことになる。
その原因が、ドラマ『トンイ』の主人公となった淑嬪(スクビン)・崔(チェ)氏の登場である。すでに張禧嬪への愛を失っていた粛宗は、下働きで水汲みをしていた彼女に心を奪われた。さらに、粛宗が1694年に仁顕王后を王妃に戻したことで、張禧嬪の没落が決定した。しかも、淑嬪・崔氏が後の21代王・英祖(ヨンジョ)となる息子を産んだので、世子である昀の立場も危うくなった。(ページ3に続く)