要点でまとめた朝鮮王朝518年の歴史(中編)

最悪の暴君

即位当初は悪評だらけの世祖だったが、彼は政治的には能力が高く、土地制度の改革、軍事力の充実、国の基本法典の編纂などで力を発揮した。
こうした世祖の政治を引き継いだのが1469年に即位した9代王・成宗(ソンジョン)で、彼は朝鮮王朝の統治体制の基本となった「経国大典」を作った。今で言うと憲法を制定したようなものであり、成宗の業績は高く評価されている。
成宗の治世は1494年まで続いたが、その時点で朝鮮王朝は建国からほぼ100年を経過した。政治の基盤は完全に整い、王朝はまさに安定期を迎えようとしていた。その時期に、国内を大混乱に陥れる暴君が現れた。とんでもない王の名は燕山君(ヨンサングン)。朝鮮王朝27人の王の中で最悪の男である。




悪行は数知れないが、生母の死罪に関係した官僚たちをねこそぎ処刑した事件は悲惨だった。すでに死んでいる官僚の場合は、その墓を掘り返して死人の首をはねるという暴挙まで行なった。
燕山君の私生活はまさに酒池肉林。朝鮮王朝の最高学府は成均館(ソンギュングァン)だったが、その学問の場を日夜宴会場にして酒色にふけった。しかも、庶民がハングルで燕山君を批判する落書きをすると、ハングルそのものを禁止してしまった。文字を使うな、というのは常軌を逸している。
国政は乱れ、人心も離れた。それでも、燕山君は乱れた生活をやめなかった。(ページ3に続く)

固定ページ:
1

2

3 4

関連記事

ピックアップ記事

必読!「悪女たちの朝鮮王朝」

本サイトには、「悪女」というジャンルの中に「悪女たちの朝鮮王朝」というコーナーがあります。ここでは、朝鮮王朝の歴史の中で政治的に暗躍した女性たちを取り上げています。
朝鮮王朝は儒教を国教にしていた関係で、社会的に男尊女卑の風潮が強かったのです。身分的には苦しい境遇に置かれた女性たちですが、その中から、自らの才覚で成り上がっていった人もいます。彼女たちは、肩書社会に生きる男性を尻目に奔放に生きていきましたが、根っからの悪女もいれば、悪女に仕向けられた女性もいました。
「悪女たちの朝鮮王朝」のコーナーでは、そんな彼女たちの物語を展開しています。

もっと韓国時代劇が面白くなる!

韓国時代劇によく登場する人物といえば、朝鮮王朝の国王であった中宗、光海君、仁祖、粛宗、英祖、正祖を中心にして、王妃、側室、王子、王女、女官などです。本サイトでは、ドラマに登場する人物をよく取り上げています。

ページ上部へ戻る