要点でまとめた朝鮮王朝518年の歴史(前編)

仏教を迫害して儒教を優遇

もう一つ見逃せないのは儒教の存在だ。朝鮮王朝の前の高麗(コリョ)王朝では、あまりに仏教を優遇しすぎたために、寺院や僧侶が大きな力を持ってしまった。その結果、寺院は私有財産を増やし、僧侶が政治に介入して内政が混乱した。こうした前例に懲りて、朝鮮王朝では仏教を迫害して儒教を国教に指定した。
儒教は秩序ある生活規範となり、民心の安定に寄与した。また、序列や男尊女卑を認める儒教は、朝鮮王朝が決めた厳格な身分制度を守るうえで都合が良かった。
このように、独自の官僚制度と儒教の採用が朝鮮王朝の安定に寄与した。




しかし、いいことばかりではない。王が官僚を頼りにしすぎたために、官僚は派閥を組んで権力闘争に明け暮れた。
これは、朝鮮王朝の病巣ともいえるもので、官僚同士の激しい対立が何度も国難を招いている。また、儒教的な格式主義が実学の発達を遅らせ、経済が停滞する要因になったことも確かだ。
こうした負の要素が19世紀以降に吹き出して、朝鮮半島の近代化が遅れる原因となった。その結果、欧米列強や日本による圧力を受けて、朝鮮王朝は徐々に崩壊の道をたどったのである。(ページ3に続く)

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