不倶戴天の敵
ドラマ『太王四神記』でも描かれた広開土大王(クァンゲトデワン)の時代から巨大な国家を築いていた高句麗。その南下政策を防ぐという目的は、百済と新羅が共有できるものだった。
そこで、百済と新羅は同盟を結び、551年には百済の聖王(ソンワン)と新羅の真興王(チンフンワン)はともに協力して高句麗を駆逐し、漢江地域を占有することに成功した。
しかし、共通の敵である高句麗がいなくなった時点で、百済と新羅の同盟関係は崩れた。何よりも、新羅は領土的野心をもって漢江地域の独占をもくろみ、当然ながら百済が反発した。
ここに、両国の紛争が勃発した。
敵対するようになった百済の聖王と新羅の真興王。結果は新羅に軍配があがった。そして、捕虜となった聖王は斬首されるという惨めな最期となった。
その憎しみから、百済は新羅を不倶戴天の敵とみなすようになり、以後は両国の間で激しい戦いが続いた。
(後編に続く)
文=康 熙奉(カン ヒボン)