長く続かなかった栄光
張禧嬪にとって仁顕王后は恩人にあたるのだが、張禧嬪は粛宗の寵愛を受けていることに驕って仁顕王后を邪険にした。
その態度があまりにひどいので、さしもの仁顕王后も、ようやく目がさめた。
彼女は粛宗に「あの女はいけません」と忠告したのだが、すでに遅かった。張禧嬪が粛宗の長男を産むと、彼女はますます増長した。こうなると、仁顕王后は亡き明聖王后の言葉をしみじみとかみしめるしかなかった。
一方、粛宗は長男を産んだ張禧嬪にしつこく頼まれて、とんでもないことを言いだした。仁顕王后を廃妃にするというのだ。高官たちが猛反対したが、粛宗は1689年に強行した。そして、空いた王妃の座に側室だった張禧嬪を昇格させた。
この時点で仁顕王后には子供がいなかった。やはり、王の息子を産んだ女性はこれほど重宝されたのである。
しかし、張禧嬪の栄光は長く続かなかった。粛宗が新たに淑嬪(スクピン)・崔(チェ)氏を寵愛するようになったからである。彼女は、ドラマ『トンイ』の主人公になった女性だ。
淑嬪・崔氏は、ずっと仁顕王后を慕っていた。そういう事情もあり、彼女は粛宗に「どうかもう一度王妃様を王宮に戻してあげてくださいませんか」と懇願した。
粛宗は寵愛する女性の頼みをなるべく聞いてあげるタイプのようだ。彼は1694年に高官たちを集めて、急に仁顕王后を王妃に戻すことを発表した。(ページ3に続く)
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