完璧な復讐のために
仁穆王后と綾陽君のそれぞれの主張は平行線をたどった。
それでも、綾陽君は最後まで斬首に反対した。
彼は光海君を追放して16代王・仁祖(インジョ)として即位したが、先王の斬首を実行したら、自分が歴史上でどんな暴君と呼ばれるかがわかっていた。
結局、仁穆王后は光海君の斬首をあきらめざるをえなかった。
果たして、彼女の復讐は完璧に成就されたのかどうか。
あれほど憎んだ光海君の首を取れなかったことが、仁穆王后にとって唯一の心残りであっただろう。
ちなみに仁穆王后は、光海君が廃位になってから9年後に世を去った。
光海君はそれからさらに9年間生き、流罪先の済州島(チェジュド)で66歳の生涯を終えた。
(終わり)
文=康 熙奉(カン ヒボン)
提供=「ロコレ」