哲宗(チョルジョン)!教養のない王

王となった元範

江華島で生活していた元範は王宮に呼び出されたことに脅えた。彼の祖父や兄は、王宮から使者が来た後に死罪となったからだ。「ついに自分の番が来たか」と思いながら王宮にやってきた元範は、そこで勲功をあげて凱旋してきた将軍のような扱いを受けた。
1849年6月、元範は25代王・哲宗として即位した。本来、王族の男子は幼いころから勉学に励むのだが、哲宗は農業に精一杯で勉学を行なう時間がなく、彼は文字をまともに読み書きすることができなかった。




純元王后は、哲宗の学識のなさに危機感を募らせた。彼女は哲宗が即位した日の御前会議で、重臣たちに「王には学識を身につけることの必要性がある。責任を持って補佐するように」と言った。もちろん、王の学識のなさに誰もが大きな不安を抱えていた。その中で重臣の1人が、「我々も最善を尽くして王を支えますが、太母(テモ)殿下(純元王后のこと)もよろしくご協力ください」と意見を述べた。
哲宗が漢字で命令書を書くことができないので、ハングルを使用していた。当時の朝鮮王朝では、ハングルは学識のない人が使う文字だと認識されていた。仮にも王である哲宗が使うべき文字ではなかったのだ。(ページ3に続く)

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