張緑水の策略
暴君と呼ばれ、誰からも恐れられていた燕山君。そんな彼に対して、張緑水は子供をあやすように接する。幼いころに母親を亡くした燕山君にとって、張緑水は母性を感じさせてくれる存在だったに違いない。彼女がまだ妓生のころに、多くの男性遍歴で観察力が培われていたのだ。
張緑水はかなり嫉妬深く、燕山君の寵愛を受けていた2人の側室に嫉妬するが、相手も同じく張緑水に対して嫉妬心を抱いていた。この状況が宮中にある事件を巻き起こす。
1504年、張緑水は「2人の側室が、私の部屋に王を非難する文章を送ってきました」と報告する。それを聞いた燕山君は、2人の側室の家族をすべて捕えて拷問にかけた。しかし、誰1人自白しようとしないので、彼女たちの家族は全員処刑されてしまう。さらに、燕山君は彼女たちの近い親戚を島流しに処したのである。
この事件で、燕山君は張緑水の言葉を疑うことなく信じたが、周りの者たちは「これは、張緑水が相手を嫉妬して行なった策略に違いない」と思っていた。(ページ3に続く)