光海君(クァンヘグン)の栄光と転落

惨めな余生

さいはての地に送られたことにショックを受けた光海君は、島に着いて慟哭(どうこく)した。役人が「ご在位中に悪い官僚たちに惑わされなければよろしかったのに……」と必死に慰めたという。
気を取り直したあと、光海君は済州島で生き続けた。
先王としての尊厳を守られたとは言えなかったが、屈辱を胸にしまって島の暮らしになじもうとした。
世を去ったのは1641年で66歳だった。王宮を追われてから18年の歳月が過ぎていた。あの燕山君が島流しにあって2カ月ほどで息絶えたのとは正反対だった。
その後、光海君に対する歴史的評価はかなり変わった。今では、彼の政治的な業績を評価する風潮になってきた。




実際、クーデターの首謀者で光海君のあとに王位についた16代王・仁祖(インジョ)は、統治に大失敗した。その結果、朝鮮王朝は後金(後の清)の侵攻を許して屈辱的な謝罪を強いられている。
もし光海君が続けて王位にいれば、朝鮮王朝は屈辱にまみれることはなかっただろう。もっと光海君に政治をまかせれば良かったのだが……。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

光海君(クァンヘグン)!暴君の汚名から名君へと評価が一変した国王

知られざる光海君(クァンヘグン)の実像1「光海君の即位」

光海君(クァンヘグン)と臨海君(イメグン)!兄弟同士の骨肉の争い

光海君(クァンヘグン)への恨みを晴らした仁祖(インジョ)の復讐劇!

光海君(クァンヘグン)を廃位にした仁祖(インジョ)に正当性はあるのか

光海君(クァンヘグン)と仁穆(インモク)王后はなぜ激しく対立したのか

固定ページ:
1 2

3

関連記事

ピックアップ記事

必読!「悪女たちの朝鮮王朝」

本サイトには、「悪女」というジャンルの中に「悪女たちの朝鮮王朝」というコーナーがあります。ここでは、朝鮮王朝の歴史の中で政治的に暗躍した女性たちを取り上げています。
朝鮮王朝は儒教を国教にしていた関係で、社会的に男尊女卑の風潮が強かったのです。身分的には苦しい境遇に置かれた女性たちですが、その中から、自らの才覚で成り上がっていった人もいます。彼女たちは、肩書社会に生きる男性を尻目に奔放に生きていきましたが、根っからの悪女もいれば、悪女に仕向けられた女性もいました。
「悪女たちの朝鮮王朝」のコーナーでは、そんな彼女たちの物語を展開しています。

もっと韓国時代劇が面白くなる!

韓国時代劇によく登場する人物といえば、朝鮮王朝の国王であった中宗、光海君、仁祖、粛宗、英祖、正祖を中心にして、王妃、側室、王子、王女、女官などです。本サイトでは、ドラマに登場する人物をよく取り上げています。

ページ上部へ戻る