なるほど韓国6「韓国の鉄道では何が起こるかわからない」

騒々しくて楽しい車内

席に座って冷静になれば、先客の言うとおりかもしれない。
車内はガラガラなのである。しかも、相手は相当に年配の女性。わざわざ移ってもらわなくても、私が気を利かせればよかった。たとえ、女性が指定席券さえ持っていなかったとしても。
杓子定規だったようだ。日本的には「決まりは決まり」なのだが、ここは韓国だった。なにごとにおいても、現実にそくして融通を利かせる国なのである。
もう一つ、別のエピソード。高速列車ができる前の話だ。
ソウルから大邱(テグ)まで、在来線の急行列車に乗った。全席指定だったが、満席で席を取れない。当時は立席特急券というものがあった。立ちっぱなしを覚悟して乗るのである。
私は乗車するとすぐに食堂車に行き、ビールを飲みながら粘った。大邱まで4時間、何本のビールを飲んだことだろうか。




よく見ると、私と同じ目的の乗客が何人もいた。3時間が過ぎた頃にはみんないい気持ちになって、そのうち歌い始める人もいた。その人はなんと、ギターまで持っていた。
私も大いに歌った。しまいに食堂車がカラオケルームのようになった。しかも、生ギターの伴奏つきである。
あんな騒々しくて楽しい車内は、後にも先にも他になかった。

文=康 熙奉〔カン・ヒボン〕
構成=「歴史カン・ヒボン」編集部

なるほど韓国1「韓国には老舗がほとんどない」

なるほど韓国2「食べ残す韓国、残さない日本」

なるほど韓国3「死罪の方法もこんなに違う」

なるほど韓国4「韓国のバスには驚かされる」

なるほど韓国5「すべての一族が家系書を作り続けた国」

なるほど韓国7「舟盛りVS大皿いっぱい盛り」

固定ページ:
1

2

関連記事

ピックアップ記事

必読!「悪女たちの朝鮮王朝」

本サイトには、「悪女」というジャンルの中に「悪女たちの朝鮮王朝」というコーナーがあります。ここでは、朝鮮王朝の歴史の中で政治的に暗躍した女性たちを取り上げています。
朝鮮王朝は儒教を国教にしていた関係で、社会的に男尊女卑の風潮が強かったのです。身分的には苦しい境遇に置かれた女性たちですが、その中から、自らの才覚で成り上がっていった人もいます。彼女たちは、肩書社会に生きる男性を尻目に奔放に生きていきましたが、根っからの悪女もいれば、悪女に仕向けられた女性もいました。
「悪女たちの朝鮮王朝」のコーナーでは、そんな彼女たちの物語を展開しています。

もっと韓国時代劇が面白くなる!

韓国時代劇によく登場する人物といえば、朝鮮王朝の国王であった中宗、光海君、仁祖、粛宗、英祖、正祖を中心にして、王妃、側室、王子、王女、女官などです。本サイトでは、ドラマに登場する人物をよく取り上げています。

ページ上部へ戻る