謎の王命を語る粛宗(スクチョン)/朝鮮王朝劇場4

側室から王妃になれないという王命

「せっかくここでお会いできたのですから、お聞きしたいことが山ほどあります」
「いや、そちの相手をしている時間はない。どんな美人がお墓参りに来るかもわからないからな」
「それでは、1つだけお聞かせ願えませんか?」
「まあ、1つだったらいいだろう。なにかね」




「『朝鮮王朝実録』の記述によると、あなたは1701年10月7日に『今後は一切、側室から王妃に昇格できないようにせよ』という王命を発していますが、これはとても謎めいていました」
「いったいどこが謎だというのかね」
「1701年10月8日には、亡くなった仁顕王后を呪詛した罪で、張禧嬪に死罪を命じています。その前日に『今後は側室から王妃になれない』との王命を下したということは、標的がたった1人しかいないことになりますよね」
「たった1人とは?」
「まさに淑嬪・崔氏です。仁顕王后が亡くなり、張禧嬪も死罪になれば、その後に王妃になる筆頭候補は淑嬪・崔氏をおいて他にいませんでした。それなのに、側室から王妃になれないという王命を下した。いわば、淑嬪・崔氏を絶対に王妃にしたくなかったから、あんな王命を出したのでは?」
「ずいぶんと鋭いところを突いてくるではないか。もう300年以上も昔のことなので、忘れてしまったなあ」
「とぼけないでください。何百年たっても、忘れるはずがありません。本当のところをぜひ教えてください」(ページ3に続く)

粛宗(スクチョン)/朝鮮王朝おどろき国王列伝7

真相を語る張禧嬪(チャン・ヒビン)/朝鮮王朝劇場1

淑嬪・崔氏(スクビン・チェシ)!張禧嬪のライバル

仁顕(イニョン)王后!一度は廃妃になった悲劇の王妃

固定ページ:
1

2

3

関連記事

ピックアップ記事

必読!「悪女たちの朝鮮王朝」

本サイトには、「悪女」というジャンルの中に「悪女たちの朝鮮王朝」というコーナーがあります。ここでは、朝鮮王朝の歴史の中で政治的に暗躍した女性たちを取り上げています。
朝鮮王朝は儒教を国教にしていた関係で、社会的に男尊女卑の風潮が強かったのです。身分的には苦しい境遇に置かれた女性たちですが、その中から、自らの才覚で成り上がっていった人もいます。彼女たちは、肩書社会に生きる男性を尻目に奔放に生きていきましたが、根っからの悪女もいれば、悪女に仕向けられた女性もいました。
「悪女たちの朝鮮王朝」のコーナーでは、そんな彼女たちの物語を展開しています。

もっと韓国時代劇が面白くなる!

韓国時代劇によく登場する人物といえば、朝鮮王朝の国王であった中宗、光海君、仁祖、粛宗、英祖、正祖を中心にして、王妃、側室、王子、王女、女官などです。本サイトでは、ドラマに登場する人物をよく取り上げています。

ページ上部へ戻る