『王女の男』に登場する敬恵(キョンヘ)王女の生涯/前編

11歳の弟が即位

相手に選ばれたのは、名家出身の鄭悰(チョン・ジョン)である。当時は、結婚した王女は王宮の外に出なければならなかった。文宗は敬恵王女をとてもかわいがっており、娘のために王宮の近くにりっぱな屋敷を用意した。その屋敷で、敬恵王女と鄭悰は新しい夫婦生活をスタートさせた。
1年後の1452年、文宗は38歳で世を去った。覚悟していたとはいえ、敬恵王女の悲しみは大きかった。
王位を継いだのは、敬恵王女の弟でまだ11歳の端宗だった。王が幼い場合、王族の最長老女性が垂簾聴政(摂政のこと。王の後ろに掛けた簾の奥から政治を仕切ったことからこう呼ばれた)を行なうのが朝鮮王朝のしきたりだったが、端宗には母も祖母もすでにいなかった。




これは、端宗にとって非常に不利な状況だった。
もちろん、文宗の付託を受けた忠臣たちが端宗を補佐したのだが、端宗にしてみれば6歳上の姉に対する依存心が強くなった。端宗は心細い気持ちを払拭したくて、何度も姉の屋敷を訪ねるようになった。
それは、敬恵王女にとってもうれしいことだった。母の愛を知らずに育った弟の母代わりとして、敬恵王女は端宗を優しく見守った。(ページ3に続く)

『王女の男』に登場する敬恵(キョンヘ)王女の生涯/中編

『王女の男』に登場する敬恵(キョンヘ)王女の生涯/後編

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